2010年12月3日 の記事

ありがとうございます

by Hashimoto

今朝、事務所にお花が届きました。

シクラメン

かわいいピンクと白のツートン

形も丸みを帯びていて、一般的なシクラメンより柔らかい雰囲気

こちら、私が住宅メーカーにいた頃から仲良くさせて頂いているお客様から頂きました。

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10年近く前になりますか。

初めて展示場にご来場頂いた時から私の話に耳を傾けてくださり

数回の打ち合わせの中で

「橋本さんだったら、ウチの奥さんを任せられるから」

とご主人におっしゃって頂き 競合もなく、設計のご依頼を頂きました。

クリスチャンのとても素敵なご主人とお洒落な奥様

土地探しからお手伝いをして、1年がかりで

横浜にご夫婦と小学生のお子さんの為の素敵な家が完成しました。

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しかし、完成して間もなく、ご主人の癌が発覚し。

それからご主人はご自宅で闘病生活。。。

設計している時は、そんなことになるとは勿論夢にも思わず。。

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設計当時、リビング続きで作った6畳ほどの洋室に リビングとの境に壁を作るか、

可動扉で仕切るか しばらく悩んだ結果、壁も可動扉も付けないということに。

その洋室でご主人のベットを置いて、奥様が介護。

玄関からも直接入れる部屋なので、週一回来る介護の方も

他の部屋を通らずにご主人のいる部屋へ入れます。

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結果論でしかないです。

でも、その洋室は、リビングにいればご主人がすぐ傍にいます。

ダイニングやキッチンからは直接見えませんが

ご主人が呼ぶ声は聞こえるし、

ダイニングでしゃべる声はご主人に聞こえます。

これが壁で仕切ってしまっていたらそのような使い方は出来ないし。

扉で仕切ったって、ご主人はいつでも家族の気配を感じることは出来ません。

リビングの上の吹き抜けに面して、二階の奥様のプライベート部屋があり

吹き抜けに面した小窓からはご主人のいる部屋が見えます。

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闘病生活は本当に大変なものですから

リフォームなのど大掛かりなことをしなくても対応できたのは

私なりに、少しでも力になれたのではないかと。

自己満足ですし、それでご主人の癌が治るわけでもありませんが。

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3年前、新築の時には出来なかった家具工事の依頼を頂き

こだわりの奥様のご要望をかなえるべく

何度も打ち合わせを重ね、サクラの木の綺麗な木目が生かされた

ダイニングの収納が完成しました。

ご主人も奥様もとても喜んで頂き、

寝たきりになってしまったご主人は

ベットからわたしに握手をしてくださいました。

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その年の年末、奥様からお葉書を頂き

ご主人が亡くなったことを知りました。

日付を見れば、家具工事が終わった2ヵ月後のこと。

本当にびっくりし

横浜で家を建てたいという奥様の希望の家をかなえて亡くなったご主人の想いと

愛するご主人を失ってしまった奥様の悲しみを想うと

言葉が出ませんでした。

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このシクラメンもレザー調の鉢カバーも

奥様のセンスが光ります。

ご主人が残してくれた、想いのこもった家で

奥様と高校生になったお子さんと2人で

相変わらず素敵にお暮らしになっていることでしょう。

素敵なご家族に出会え、家造りのお手伝いが出来、

今でもこうして交流させて頂いていることが

わたしの人生の糧となり、仕事へのエネルギーの源になります。

本当にありがとうございます。

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